圏椅とスカンジナビアの椅子
ハンス J. ウェグナーによるスカンジナビアデザインを代表する椅子とその発想の原点となった中国、明代の椅子「圏椅」とを対比することによって、そのデザインの共通点とウェグナーの思考の過程を探ります。 「圏椅」は中国の高級官僚をはじめとした階級層のために用いられた椅子で、特徴的な背もたれと肘掛けが一体となったひとつながりの造形は、腕を広げて肘掛けに乗せる威厳を示す目的もあったとも思われます。そして時代が下り、ウェグナーはこの造形を曲木で表現し、生産性も高く、構造的・造形的合理性をもったモダンでありながらも職人の温もりを感じさせるプロダクトに昇華させました。そのプロセスを体感できる「チャイニーズチェア」「ザ・チェア」そして「Y チェア(ウィッシュボーンチェア)」についても合わせて語ります。
- 講師:寺田尚樹(建築家・デザイナー/株式会社インターオフィス代表取締役社長)、五十嵐久枝(デザイナー/武蔵野美術大学 造形学部空間演出デザイン学科教授)
- 日時: 2024年6月26日(水)
- 会場:MAARKETトーキョー
- 主催:武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 共催:株式会社インターオフィス
みんなの椅子NEXT
2022年夏に開催した「みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」は、当館椅子コレクションに座りながら近代椅子デザイン史を辿る展覧会でした。開催中より多くの方から反響をいただいたことを受けその続編と呼ぶべき企画を、会場と展示スタイルを変えて開催いたします。「みんなの椅子 NEXT」と名付けたこのシリーズでは、後世の椅子に大きな影響を与えた一脚を取り上げ、展覧会監修であったお二人による講演会形式で、その秀逸さと影響関係を掘り下げていきます。